巡回指導サポート

 巡回指導は、一般貨物自動車運送事業の許可に係る運輸開始届から、約3か月後に行なわれます。

 事前にトラック協会から日程の連絡があり、準備しておかなければならない書類内容を記載した郵送物が届きますから、その内容に基

 づき、帳票類を準備しておく必要があります。

 

 二人の担当官が来ますが所要時間は2時間程度です。

 初回の指導でA判定を受けた会社であれば、次回は2年~3年に一度、それ以外の評価では、巡回指導の期間頻度が短くなるケースが高く

 なりますので、きちんと準備をしておくことが大事です。

 

 あくまで指導ですから、行政処分権限があるわけではありませんが、結果次第では運輸支局による監査に繋がるおそれもあります。

 初回の評価がA又はB判定であった場合は、今後(3年後)の「Gマーク」申請も考えられます。

 Gマーク取得へ向けた業務取組み続けてください。

巡回指導におけるチエック項目

 巡回指導のポイント

Ⅰ 事業計画等          8項目

Ⅱ 帳票類の整備、報告等     5項目

Ⅲ 運行管理等         13項目

Ⅳ 車両管理等          5項目

Ⅴ 労基法等           4項目

Ⅵ 法定福利           項目

Ⅶ 運輸安全マネジメント     項目

 

 

☆巡回指導のポイントとしてチエック項目(38項目)があります。

 

 「運行管理等」に関する部分は項目多数(13項目)であり重点項目最重点項目も多いというのがポイントです。

 太字青部分が重点項目太字赤部分が最重点項目になります。

Ⅰ 事業計画等(8項目)

 

1.主たる事務所及び営業所の名称、位置に変更はないか(重点項目)

2.営業所に配置する事業用自動車の種別及び数に変更はないか

3.自動者車庫の位置及び収容能力に変更はないか(重点項目)

4.乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力は適正か

5.乗務員の休憩・睡眠施設の保守管理は適正か

6.届出事項(役員、特定貨物に係る荷主名)に変更はないか(本社に限る)

7.自家用自動車の違法な営業類似行為(白トラの利用等)はないか(重点項目)

8.名義貸し、事業の貸渡し等はないか(重点項目)

             ê     

上記の事業計画等で確認される帳票類としては

・登記簿謄本類

・一般貨物自動車運送事業経営許可申請書

・事業計画変更事前認可申請書

・事業計画変更認可事前届出書

・事業計画変更事後届出書

・役員変更届出書

      ê

          帳票の主なチエックポイント

・許可申請書や届出書に記載されている内容と現状に相違はないか

・車両台帳記載の車両以外の車両が使用されていないか

自家用トラックが運送事業に係わっていないか。

・運行管理、車両管理が適正に行われているか

Ⅱ 帳票類の整備、報告等(5項目)

 

1.事故記録が適正に記録され、保存されているか

2.自動車事故報告書を提出しているか

3.運転者台帳が適正に記入等され、保存されているか

4.車両台帳が整備され、適正に記入等がされているか

5.事業報告書及び事業実績報告書を提出しているか

              ê

帳票類整備、報告で確認される帳票類としては下記のとおりです。

・事故記録簿

・自動車事故報告書

・運転者台帳

・車両台帳

・事業報告書

・事業実績報告書

            ê

           帳票の主なチエックポイント

・各書類に必要事項が記載されており、営業所に備え付けられているか

・報告が必要な事故を起こした場合、事故発生日から30日以内に自動車事故報告書を提出しているか

・事業報告書が、毎事業年度終了後100日以内に提出されているか

・事業報告書が、毎年7月10日までに提出されているか

 

Ⅲ 運行管理等(13項目)

 

1.運行管理規程が定められているか

2.運行管理者が選任され、届出されているか(最重点項目)

3.運行管理者に所定の講習を受講させているか

4.事業計画に従い、必要な員数の運転者を確保しているか

5.過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか(最重点項目)

6.過積載による運行を行っていないか(最重点項目)

7.点呼の実施及び記録保存(※点呼簿)は適正か(重点項目)

8.乗務等の記録(※運転日報)の作成・保存は適正か(重点項目)

9.運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か(重点項目)

10.運行指示書の作成・指示、携行及び保存は適正か

11.乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか(最重点項目)

12.特定の運転者に対して特別な指導を行っているか

13.特定の運転者に対して適正診断を受けさせているか

 

 ※点呼簿

・点呼簿は対面点呼が義務づけられていますので、重点的に見られる項目です。
・運転手が運行経路上、戻れない場合以外で対面点呼を行わないことは許されません。

 (営業所と車庫が離れている場合でも、対面点呼の必要があります)。

・運行管理補助者も点呼ができますから計画的にスケジュールを管理してください。

 (点呼の3分の1以上は運行管理者が行なうことになっています)

 

 ※運転日報

・運転時間は適正か⇒長時間休憩を取らずに運転していないか

 *休憩は適正時間、適正な間隔でとっているか

 ⇒連続運転4時間ごとに30分以上、また、運行と運行の間に8時間以上

 *残業・深夜の時間の管理はできているか
 ⇒デジタコの場合は、運転手がしっかり操作しているか

  ⇒デジタコ未装着の場合は運転手が、運転時間、休憩時間、待機時間、深夜時間、残業時間をタコグラフや運転日報をもとに集計し

  て管理しなければなりません。

 ê

         運行管理等で確認される帳票類

・運行管理規程

・運行管理選任、解任届

・運行管理資格者証

・運行管理者講習手帳

・運転日報

・運行指示書

・運行計画及び勤務割当表

・運転記録計による記録(タコメーター等)

・乗務実績一覧表(拘束時間管理表)

・点呼記録簿、点呼執行要領

・運転者への指導計画表、記録簿

・適正診断受診結果表

・運転記録証明書

・無事故無違反証明書

ê

 

         帳票の主なチエックポイント

・自動車の数、運転に付帯する業務等に応じた員数の運転者を選任しているか

・初めて運行管理者になった方や、2年に1回一般講習を受講させているか

・労働時間基準告示(平成13年国土交通省第1365号)に則した勤務割表

 が作成されているか

・労働時間は改善基準告示に違反していないか

・乗務前、乗務後に対面(運行上やむを得ない場合は電話等)により点呼が行

 なわれているか

・乗務前、乗務後にいずれも対面で点呼ができない場合に、当該点呼のほかに

 乗務途中に電話などで中間点呼が行なわれているか

・乗務記録に必要事項が記載されているか

・総重量7t以上又は最大積載量4t以上の自動車及びこれに該当するトレーラ

 ーをけん引するトラクターに運行記録計が装備されているか

・乗務監督指針(告示)に基づき、一般的な指導監督の内容(12項目)が計

 画的かつ継続的に実施し、その記録が残されているか

 

 

Ⅳ 車両管理等(5項目)

1.整備管理規定が定められているか

2.整備管理者が選任され届出されているか(最重点項目)

3.整備管理者に所定の研修を受講させているか

4.点検基準基準に基づき点検を適正に行っているか

5.定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整

  備記録簿等が保存されているか(最重点項目)

ê

       車両管理等で確認される帳票類

・整備(車両)管理規程

・整備管理者選任届、解任届

・整備管理者資格者証

・整備管理者研修手帳

・日常点検基準

・日常点検表

・定期点検基準

・定期点検整備実施計画表

・点検整備記録簿(3か月、12か月)

ê

 

          帳票の主なチエックポイント

・整備管理者の選任、解任、変更等があった場合は、適正に届出がされているか

・初めて整備管理者になった方や2年に1回、整備管理者選任後研修を受講させているか

・点検基準に基づき、1日に1回、運行前に日常点検を実施しているか

・点検基準に基づき、3か月及び12か月毎の定期点検整備を実施しているか

 

Ⅴ 労基法等(4項目)

1.就業規則が制定され、届出されているか(重点項目)

2.36協定が締結され、届出されているか

3.労働時間、休日労働について違法性はないか(運転時間を除く)

4.所要の健康診断を実施し、その記録、保存が適正にされているか(重点項目)

(重点項目)

 

ê

         労基法等で確認される帳票類

・就業規則

・36協定書

・出勤簿

・健康診断結果

ê

          帳票の主なチエックポイント

・36協定は、更新し届出がされているか

・所定労働時間、時間外労働、休日労働等が労働基準法、改善基準告示、就業規則等に従った適正な就労状況になっているか

雇入れ時の健康診断、定期健康診断(1年/年)等を受診させているか

Ⅵ 法定福利(2項目)

1.労災保険、雇用保険に加入しているか(重点項目)

2.健康保険、厚生年金保険に加入しているか(重点項目)

ê

         法定福利で確認される帳票類

・労災、雇用保険加入台帳

・健保、厚生年金加入台帳

・賃金(給与)台帳

ê

 

帳票の主なチエックポイント

加入対象者全員が雇用保険に加入しているか

加入対象者全員が健康保険、厚生年金保険に加入しているか

Ⅶ 運輸安全マネジメント 1項目

1.運輸の安全に関する基本的な方針が定められているか。

2.輸送の安全に関する目標が定められているか。

3.輸送の安全に関する計画が定められているか。

4.運輸安全マネジメントの公表がされているか。

ê

       運輸安全マネジメントで確認される帳票類

・運輸安全マネジメントに関する公表資料

 以下は200両以上所有している事業者のみです。

・安全管理規程

・安全統括管理責任者選任届出書

・安全管理規程設定届出書

ê

帳票の主なチエックポイント

事業年度毎に次の事項が設定作成されているか

ア.   輸送の安全に関する基本的方針

イ.   輸送の安全に関する目標

ウ.   目標達成のための計画

安全情報が公開されているか

・輸送の安全に係る行政処分を受けた場合は、次の事項を遅滞なく公表しているか

ア.   当該処分の内容

イ.   当該処分に基づき講じる改善内容等

以下は200両以上所有している事業者のみ

   安全管理規程が届出されているか

   安全統括管理者が選任されているか

 

そのほか政令で定められている項目

 

 1.利用運送事業(旧取扱事業)に関する届出事項、業務に変更はないか

 2.特別積合せ貨物運輸に関する届出事項、業務に変更はないか

 3.車体表示、運賃料金の届出等その他の項目が適正に行われているか

 AEの5段階で評価されます(チエック項目38)。

 ※巡回指導の項目の最重点項目及び重点項目が「否」と評価された場合には、1段階下の評価となります。

   

評価 A

90%以上適正

(9割=35項目) NG 3個まで

評価 B

80%~90%未満

(8割=31項目) NG 7個まで

評価 C

70%~80%未満

(7割=27項目) NG11個まで

評価 D

60%~70%未満

(6割=24項目) NG15個まで

評価 E

60%未満

 NG16個以上(OKが22個以下)

                         【北海道トラック協会公表資料】  

 

  要するに A⇒大変良い B⇒良い C⇒普通 D⇒悪い E⇒大変悪い です。

 

 巡回指導の後に適切ではない項目の指摘がなされ、適正化実施機関(トラック協会)から、改善事項を記した書類が送られてきますの

 で指摘事項は改善し、期限(2か月以内)までに改善報告書を提出します。

 改善報告を提出しない、または提出書類に不備が多い、指摘事項の改善が見られない等の場合には運輸支局に報告がされます。

 

 巡回指導でE判定となると要注意で、事業の継続運営に支障が出ることになります。

 ・3カ月間は認可申請ができなくなります。

 ・1年間は増車が認可事項となります(届出ではなくなります)。

 ・適正化実施機関から運輸支局へ通報され、監査対象となってしまう場合もあります。

 

  巡回指導が入るのは通知がきてから約2週間ですから、その間に対策といっても時間的に準備は間に合いません、やはり日頃のチエ

 ック体制が重要になります。

 

 しかし乍ら、上記の帳票類とチエック項目は多岐にわたりますので、是正するのはかなり大変です。

 ・「具体的に何をすればいいのかよく分からない。」・「間違えてしまった大変だ!」・「チエックできる人も時間もない。」

   等と不安に思われる方もおられると思います。

 

 行政書士アドニス法務オフィスは、巡回指導対策だけではなく、日常の適切な事業運営に関しましてもサポートさせていただきますの

 でご遠慮なく連絡ください。             

                 報酬額

 

     サポート内容

     報酬額

巡回指導・監査対策

(帳票類チエック訪問2回)

44,000円(税込)

顧問契約、コンサルティング業務

(帳票類チエック&運営上のご相談

応相談 月/20,000~

※上記以外業務に関しましても何なりとご相談ください。ご依頼内容確認したうえで、お見積りをご提示させていただきます。

 ご承知いただいたうえで受任しますので、安心してお申し付けください。

※登記簿謄本類の実費分につきましては、別途ご負担となります。