運送業の許可を取得するための関門です。

 一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、許可申請後に行われる「役員法令試験」に合格することが必須となります。

 運送業許可を取得する際に必ず受けなければならない試験がこの「役員法令試験」です。合格しないと許可は取得できません。

 運送業を経営していくためには、責任ある会社でなければ許可を与えることはできませんから、非常に大切な試験です。

 法令を理解しておくことで、適切な運行管理をおこなうことができ、事故防止に繋がります。

 

 国土交通省通達

 「一般貨物自動車運送事業者及び特定貨物自動車運送事業者の許可申請の処理方針について」において、法令遵守項目の審査の一つに

  申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること」とあります。

  これによって、法令試験に合格することが条件となっております。

 

 

法令試験が行なわれる背景とは

 

 法令試験は運送業許可取得を申し出た申請者が、関連法令に違反することなく経営する能力が備わっているか、適正な法的知識を備え

 ているか否かを判断するために行われる試験ですから、誰でも受験できるのではなく限られた者だけが受験することになります。

 限られた者だけとは下記の方です。

  〇申請した個人事業主

  〇法人の場合は、運送事業に専従する役員(1名のみが受験可能で複数人での受験は不可となってます。)

 

 日常の業務が、事故とは紙一重といっても過言ではないのが運送事業ですから、運転者に対する安全には十分な配慮が必用なのです

 が、過去には過酷な労働を強いたことを原因とした交通事故が大きな社会的問題となったことがありました

 

 そのよういきさつがあり、国土交通省は、運送事業者に事故削減のため労働時間や拘束時間の管理を徹底することを求め、トラック運

 送者が適法な運行管理を行うために、法令試験合格を許可要件として加えました。

法令試験の実施方法と

 ・法令試験は、隔月の奇数月に実施されます。(年6回)

 ・初回試験は、原則として許可申請書が受理された月の翌月以降に受験することになります。

 ・一回目の試験が不合格の場合、翌々月に一回に限り再試験の受講が可能です。

 (開業が2か月遅れることになります。2回目試験を別の常勤役員が受験することも可能です)

 ・2回目も不合格となると、新規許可申請は却下処分となります。

 ・合格となった場合に始めて、許可申請の手続きが開始されることになります。

 

 合否は受験したその日に結果は分かります。

 

 参考までに、過去の関東運輸局の合格率は下記の表のとおりです。

役員法令試験(貨物)の合格率(関東運輸局)

令和5年7月

49人/69人

71.00%

令和5年5月

40人/71人

56.30%

令和5年3月

45人/55人

81.80%

令和5年1月

44人/66人

66.67%

令和4年11月

54人/78人

69.00%

令和4年9月

48人/77人

62.34%

令和4年7月

38人/57人

66.67%

令和4年5月

55人/73人

75.34%

令和4年3月

39人/66人

59.09%

令和4年1月

59人/88人

67.05%

令和3年11月

69人/108人

63.89%

令和3年9月

42人/88人

47.73%

令和3年7月

51人/90人

56.67%

令和3年5月

70人/94人

74.47%

令和3年3月

77人/107人

71.96%

令和3年1月

63人/132人

47.73%

平均

843人/1,319人

63.91%

 

 2度目の試験も不合格となると、申請手続きはやり直しですから、許可取得までにはその間の時間と経費を費やすことになります。

 最終ハードルとして乗り越えなければならない大きな課題ですが、2回以内に合格できるようしっかりと準備をすることが大事です。

 出題の範囲及び設問形式等

 

 試験の内容としては、訂正な運行管理を行うために、運送業に関わりのある貨物自動車運送事業法や、道路交通法、労働基準法、泥運

 送車両法等の法令から出題されます。

 

 出題の範囲  ・・・ 13の法令等から出題されます。

出題法令(試験実施日において施工されている内容から出題)

・貨物自動車運送事業法

・貨物自動車運送事業法施行規則

・貨物自動車運送事業輸送安全規則

・貨物自動車運送事業報告規則

・自動車事故報告規則

・道路運送法

・道路運送車両法

・道路交通法

・労働基準法

・自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

・労働安全衛生法

・私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

・下請代金支払遅延等防止法

 

 出題数  ・・・・  30問

 設問形式 ・・・・  ○✖形式

 合格の基準・・・・  8割(24問正解)

 試験時間 ・・・・  50分

 

 試験月によって多少の差は生じており、出題難易度は自治体や年度によって異なりますが、最近の関東運輸局の合格率は63.91%

 (上記参照)です。

 

 かなり厳しい試験ですが準備(過去問復習)さえしておけば、一回合格は十分に可能です。

 参考資料持ち込みはできませんが、関係法令条文が記載された条文集が配布されます。

 

 

 運送業の許可等についてご不明な点などがありましたら、アドニス法務オフィスまでお気軽にご相談ください。