自動車運転代行
1.自動車運転代行業とは
自動者運転代行業とは、他人に代わって自動車を運転する役務を提供する営業であって、次のすべてに該当するものです。
①主として、夜間において飲酒した運転者(酔客)に代わってその酔客の自動車を運転する役務(代行運転)を提供するもの。
②運転する自動車に飲酒した運転手やその連れの人を乗車させるもの。
③状態として、当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること。
「代行運転自動車」とは、飲酒した運転者に代わって運転される酔客(顧客)の自動車をいいます。
「随伴自動車」とは、代行自動車の後ろを追って酔客(顧客)を自宅等に届けた後、酔客(顧客)自宅等から営業所等に戻るために用
いる自動車のことをいいます。
※随伴自動車に乗客を乗せる、白タク(違法タクシー)類似行為は法律で禁止されております。
要は、主に飲酒のために自分の車を運転することができなくなった酔客(顧客)に代わって、車を運転するサービスです。
通常はドライバーが2名1組となって、1人が酔客(顧客)の車に酔客(顧客)を乗せ、もう1人が運転する随伴者(事業者の車)が追
走し、酔客(顧客)を目的地まで届けた後、そのドライバーを随伴者に乗せて営業所に戻るという仕組みになります。
(夜間中心の営業であることから事務所選定には苦慮するケースが多い)
自家用車が主な交通手段である地方都市の地域を中心に発達してきた経緯にあり、飲酒運転の根絶を願う社会的要請に応えるサービス
として、市民生活に広く定着しているサービス業です。
2.自動車運転代行業の認定を受けるための要件
①二種免許を取得している者がいること
酔客の車(代行運転自動車)を運転する者は二種免許を所持していることが必用です。二種免許資格を持たずに運転することは「無
免許運転」です。免許が無いことを知って業務に就かせた使用者は、「無免許運転の下命・容認違反」として厳しく処罰されます。
ただし、二種免許が必用なのは代行運転自動車の運転者にかぎられます。「随伴自動車」の運転者には二種免許は必用ありません。
②安全運転管理者がいること
自動車運転代行業者は、随伴自動車の台数に関わらず、営業所ごとに安全運転管理者を選任する必要があります。
安全運転管理者とは、交通安全教育の実施、運転日誌の作成、点呼等の実施、安全運転の指導等の業務を行う者として選任する者の
ことをいいます。
安全運転管理者の要件 |
ア. 自動車の運転管理の実務経験が2年以上ある者 イ. 自動車の運転管理の実務経験が1年以上ある者で、公安委員会が行なう教習を修了した者 ウ. 自動車の運転管理に関し、上記の者と同等以上の能力を有する者と公安委員会が認定した者 エ. 過去2年以上ひき逃げ、飲酒運転など重度の違反行為をしていない者 |
随伴自動車10台ごとに1人の副安全運転管理者の選任が必用になります。
随伴車数 |
~9 |
10~19 |
20~29 |
30~39 |
40~49 |
副安全管理者 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
③損害賠償保険に加入していること
④欠格要件に該当しないこと
次のいずれかに該当する人は、自動車運転代行業を営むことはできない。
欠格要件 |
ア. 破産開始手続きの決定を受けて復権を得ない者 イ. 禁錮以上の刑に処せられ、又は自動車運転代行業に業務の適正化に関する法律の規定により、若しくは道路運送法(無許可旅客運送事業の禁止)の規定若しくは」道路交通法第75条第1項(使用者の義務の規定)に規定に違反し、若しくは同法75条第2項若しくは同法第75条の2第1項の規定による命令に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることが亡くなった日から起算して2年を経過しない者 ウ. 最近2年間に自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の規定により、営業の廃止の命令に違反する行為をした者 エ. 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者 オ. 心身の故障により、自動車運転代行業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定める者。(国家公安委員会規則で定める者とは、精神機能の障害により、自動車運転代行業の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者) カ. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者。ただし、その者が自動車運転代行業の相続人であって、その法定代理人が前各号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。 キ. 代行運転自動車の運行により生じた利用者その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するための措置が国土交通省令で定める基準に適合すると認められないことについて相当の理由ある者 ク. 安全運転管理者を選任すると認められないことについて相当の理由がある者 ケ. 法人でその役員のうちアからオまでのいずれかに該当する者があるもの |
3.申請書の記載内容
申請書記載内容 |
ア. 申請者氏名又は名称及び住所(法人の場合は代表者氏名) イ. 主たる事務所、その他営業所の名称及び所在地 ウ. 安全運転管理者の氏名、住所 エ. 損害賠償措置を講じる措置 オ. 随伴自動車の自動車登録番号 カ. 認定を受けようとするものが法人の場合は役員の住所及び氏名 |
4.必用書類 (管轄警察署により異なりますので注意)
添付書類 |
個人 |
法人 |
住民票の写し (婚姻により成年に達したとみなされた未成年者(除く外国人)は、戸籍謄本又は抄本) |
必用 |
必用 (役員全員分) |
誓約書 |
必用 |
必用 (役員全員分) |
精神機能の障害に関する医師の診断書 |
必用 |
必用 (役員全員分) |
法人登記事項証明書 |
必用 |
必用 |
定款又はこれに代わる書類 |
必用 |
必用 |
役員名簿 (役員全員の氏名及び住所が記載されたもの) |
必用 |
必用 |
損害賠償措置を証する書面 |
必用 |
必用 |
安全運転管理者等の要件を備えていることを証する書面 |
必用 |
必用 |
未成年者登記事項証明書 (民法の規定により営業を許された未成年者の場合) |
必用 |
不要 |
安全運転管理者の必用書類
●自動車の運転の管理に係る経歴書
●住民票の写し
●運転記録証明書(3年又は5年)
●運転免許証の写し
5.申請の流れ(認定書の交付までの流れ)
①主たる営業所の所在地を管轄する警察署へ提出
②認定申請手数料 県証紙12000円(①と同時に支払う)
③標準処理期間 45日以内
④認定書交付
6.認定後の運営
①自動車の表示について
《代行運転自動車》
代行運転自動車を運転する場合には、車の前後に国家公安委員会規則で定められた代行運転自動車標識を表示しなければなりませ
ん。
ただし、当該代行運転自動車の車体の材質又は状態その他の事情に照らして、代行運転自動車標識を付けることが困難又は不適当
であると認められるときは、当該代行運転自動車標識を当該代行運転自動車の前面の見やすい箇所(ダッシュボード上を想定)に
掲示することをもってこれに代えることができます。
●代行運転自動車標識は、自動車運転代行業者が利用者に代わって利用者の自動車を運転する際に、その自動車に表示することと
されています。
●この標識は、カー用品店(店舗により取り扱っていないところあり)又は各都道府県の交通安全協会で購入できます。
《随伴運転自動車》
随伴自動車には、国土交通省令で定める表示等をしなくてはなりません。
表示内容は、自動車運転代行業者の名称又は記号、認定を行った公安委員会の名称及び認定番号、「代行」「随伴自動車」という
表示です
※ 警視庁HPより
自動車運転代行業者の名称又は記号、認定を行った都道府県公安委員会の名称及び認定番号並びに「代行」及び、「随伴自動車」の
表示は、ペンキ等による横書きとし、車体の両側面に行うこと。
●代行及び随伴自動車表示は「ペンキ」「カッティングシート」「切り文字シール」「マーキングフィルム」「ステッカー」等によ
り表示すること。ガムテープ等による貼り付けや、マグネット板(接着したものを含む)による表示は認められません。
●代行及び随伴自動車表示に掲げる事項の各文字の大きさは原則として同じとし、縦横それぞれ5cm以上とすること。
●代行及び随伴用自動車表示に掲げる事項の各文字は、公衆及び利用者に見やすいように表示すること。
②帳簿の備え付け
●運転代行者業務従業者名簿 ●誓約書 ●乗務記録 ●運転代行従事者指導簿 ●苦情処理簿
③変更届
下記の変更があった場合には、変更届を提出します。
●安全運転管理者 ●随伴車の増減 ●氏名、名称又は法人代表者の氏名 ●法人の主たる営業所所在地
●法人の役員の住所、氏名
行政書士アドニス法務オフィスは、自動車運転代行業の許可を得るための行政(管轄警察署)手続きを代行しております。
上記に記載しましたとおり、認定申請手続きには相当の時間を要することになります。
煩雑な書類収集や作成も代行させていただきますので、自動車運転代行業の事業をご検討されておられましたら、ぜひお気軽にご相談
ください。
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