整備管理者の選任と解任

 貨物自動車運送事業を営むうえで最も大事なことは安全性の確保です。事業用自動車の整備不良による事故を未然に防ぎ、より安全な

 運送事業を行うためには、車両の点検及び整備は不可欠です。

 

 乗務前の日常点検は運転者が必ず行ないますが、この点検を管理するという重要な役割を担っているのが整備管理者です。

 運送業の営業所においては、必ず整備管理者を置く必要がありますが、人数の規定はありません。一人でも大丈夫です。

  

 整備管理者は事業主に代わって車両管理を行うことにより、点検、整備に関する管理、責任体制を確立して事業用自動車の安全確保や

 環境保全を図ることが大事な役割となります。よって整備管理者を選任、又は解任した場合には必ず届出を行わなければなりません。

 

整備管理者の主な業務

  • 1.日常点検の実施方法を定めること
  • 2.日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること
  • 3.定期点検を実施すること
  • 4.日常点検、定期点検のほか、随時必要な点検を実施すること
  • 5.日常点検・定期点検・随時必要な点検の結果必要な整備を実施すること
  • 6.定期点検及び5.の整備の実施計画を定めること
  • 7.点検整備記録簿その他の点検及び整備に関する記録簿を管理すること
  • 8.自動車車庫を管理すること
  • 9.上記1.~9.に掲げる事項を処理するため、運転者、整備員その他の者を指導し監督すること

 

 整備管理者を選任するには二つあります、誰でも整備管理者として選任できるわけではありません。

 

 整備管理者になれる者とは

 ①整備士の国家資格を所有する者

  国家資格である自動車整備士技能検定に合格し資格を取得(1級~3級)した者。この場合実務経験は不要。

 

 ②実務経験による選任

  点検・整備実務経験を2年以上有していること+整備管理者選任前受講者

  ※緑ナンバーの運転者経験者であれば、点検整備の実務経験者として認められます。

  ※注意してもらうのは、勤務していた運送会社から、2年以上の実務経験がある事実の証明をもらわなくてはならないことです。

   この証明書がないと、選任前研修を受講していたとしても整備管理者にはなれません。

 

 整備管理者の選任又は解任をする際には必ず届出が必要です。整備管理者選任届懈怠の場合には30万円以下の罰金に処せられます。

 また整備管理者不存在となってしまうような事態となってしまった場合には、事業停止30日間という重い罰則適用があります。

 

 公共の安全を守るという見地からもこの届出は必ず行わなければなりません。

 

 いつまでに?

 選任、解任した日から15日以内に提出する必要があります。書類不備が生じたことから整備士がいない事態とならないように、早め

 はやめに対応することが大事です。

 

 提出書類は?整備管理者の資格要件で異なります。

 ①資格による選任

  ・運行・整備管理者選任届出書

  ・資格が確認できる書面(技能検定合格証書、自動車整備士手帳等)

  ・整備管理者選任届出書添付書類

 

 ⓶実務経験による選任

  ・運行・整備管理者選任届出書

  ・整備管理者選任前研修修了証明書

  ・2年以上の実務経験を証明する実務経験証明書

  ・整備管理者選任届出書添付書類

   ※各運輸支局で開催する「整備管理者選任前研修」を受講した方に発行される証明書ですが、随時開催される研修ではありません

    から早めに受講することが必用です。